NMNを補給することでマウスの認知機能が改善

元論文;Nicotinamide mononucleotide (NMN) supplementation rescues cerebromicrovascular endothelial function and neurovascular coupling responses and improves cognitive function in aged mice

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S221323171930240X


<ダイジェスト>

・NMNを補給すると、老化によって誘発された脳血管内皮機能障害を逆転させることができます。 年を取ったマウスのNVC反応(神経血管カップリング)を改善します。 

・NMNによる治療は、NAD+やミトコンドリアのエネルギーを回復し、老化した脳微小血管内皮細胞を減少させます。 

・NMNで治療された老化マウスの認知能力が改善されています。 


<論文要旨>

NVCを介した神経活動への脳血流の微調整は健康な認知機能の維持に不可欠な役割を果たします。 しかし、それらは加齢にともなって酸化ストレスの増加と脳微小血管内皮機能障害によってNVCを損なってしまいます。 そして認知機能の低下につながってしまうのです。 また、加齢にともなって、NAD+の利用も低下していきます。 そして、加齢によるさまざまな細胞障害が起きるのです。 そのため重要な研究が増えていますが、NAD+の利用が少なくなることで、NVCの障害につながるのです。 ただしその構造は未知のままでした。 

老齢マウスの認知機能障害が起こる理由

今回の研究では、NAD+濃度の回復が、加齢におけるNVC応答に有益な効果を及ぼす可能性があるという仮説にともなって設計されました。 この仮説を検証するため、24カ月(マウスにとっては高齢です)の月例のマウスを、主要なNAD+中間体であるNMNを投与して2週間後の経過をみました。 すると、NCV応答が老齢マウスで著しく損なわれていることが発見されました。

NMNの補給は血管拡張を増加させ、NVCを改善させることに成功したのです。 さらに、これらは「空間作業記憶」と「歩行協調」の能力の大幅な改善に関係しており、NMNのサーチュイン遺伝子の依存性保護効果と並行しています。 (サーチュイン遺伝子は、若返りに関係があるので、NMNでの研究で重要視されています)したがって、NAD+の利用の低下は、加齢にともなう脳微少血管機能障害の一因となりえます。

NMNは血管認知障害のリスクがある患者への効果的な介入として、NAD+中間体の予防およびNMNの治療可能性を浮き彫りにしたのです。 

認知機能障害におけるNMNの可能性

脳の恒常性を維持するには、厳密に制御された酸素と栄養素を供給し、心拍出量の15%に相当する中断のない脳血流(CBF)による有害な代謝物をすべて洗い流すことが必要です。 人間の脳は体の質量のわずか2%を占めていますが、それでも安静時の全身の酸素消費量の20%を占めています。 脳のエネルギー貯蔵量は限られており、脳の酸素含有量はCBFが低下した場合に、妨げられない神経機能を短時間だけ維持することができます。

したがって、著しいニューロン活動の期間中、CBFの空間的の局所化された適応増加を介して代謝需要への局所酸素およびグルコース送達の迅速な調製が必要です。 これは、神経血管カップリング(NVC)または機能性充血として知られる進化的に保存された生理学的メカニズムによって保証されます。

NVCの細胞メカニズムには、ニューロンおよび星状細胞の活性化の増加に応答した、微少血管内皮からの血管拡張剤の放出が含まれています。 現在、認知障害および認知症(VCID)への微少血管の寄与が、高齢患者において重要な役割を果たすことがますます認識されています。 高齢者と高齢の実験動物の両方で、NVC応答が損なわれているという証拠が増えており、これは加齢にともなう衰退に大きく寄与する可能性があります。 認知症や歩行能力の低下を含む、より高い皮質機能において、この概念はマウスで薬理学的に誘発された神経血管機能障害が加齢性認知障害の重要な側面を模倣しているという最近の発見によって支持されています。 

サーチュイン遺伝子の活躍

さらに、最近の研究では、ミトコンドリアを標的とした抗酸化ペプチドまたは薬理学的SIRT1活性因子による治療が、NVC応答によって、老齢マウスの認知障害を軽減することを示しています。 これらの成功した臨床研究は、加齢にともなって神経血管機能障害に寄与する分子/細胞メカニズムを標的とする翻訳関連の治療的介入の開発が高齢患者の認知障害の予防や治療に実行可能であるという概念実証を提供しています。 NAD+は、内皮細胞の生存促進経路とミトコンドリア機能の重要な調製因子であるサーチュイン酵素の基質です。 

まとめ

加齢とともに、細胞のNAD+の利用可能性が低下するという証拠が増えています。 これは加齢プロセスの重要な推進力です。 この理論を支持して老化マウスの健康寿命を改善することが実証されました。 NMNでの治療によって、NAD+生合成を強化する老化したマウスで、目、骨格筋および末梢動脈が改善しています。

NMN治療のアンチエイジング効果の根底にある重要なメカニズムは、ミトコンドリア機能の加齢に伴う低下を逆転させることです。 加齢における神経血管障害には、老化した脳微少血管系に対するNMNの潜在的な保護効果およびNVC応答について調査されています。 

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