神経を守る

元論文:Pharmacological bypass of NAD+ salvage pathway protects neurons from chemotherapy-induced degeneration


神経を守るNMN

軸索変性は複数の化学療法剤によって引き起こされ、化学療法誘発性末梢神経障害(CIPN)の特徴だといえます。

NMNの役割

CIPNは、エネルギー恒常性に関与する重要な代謝産物であるニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)の喪失と関連しているが、NAD+の喪失が軸索変性に関与しているのか、あるいはNAD+前駆体であるニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)の蓄積が関与しているのかについては議論がわかれるところです。

化学療法が引き起こす神経の変化

われわれは、広く使用されている化学療法剤であるビンクリスチンによって引き起こされる軸索変性が、NMN形成をバイパスするNAD+生合成経路を末梢ニューロンに使わせることによって改善されることを発見しました。

NMNへの期待

しかし、この考え方に疑問を投げかける研究もあり、NAD+の損失ではなく、NAD+の直接の前駆体であるニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)の異常増加が原因であることが示唆されています。

治療への期待

この考えを支持するものとして、細菌のNMNデアミダーゼを発現させることでニューロンにおけるNMNの蓄積をブロックすると、軸索は変性から守られたのでした。 NMN産生を薬理学的に低下させることによっても、同様に保護が達成できるのではないかと考えられています。

まとめ

これらのデータを総合すると、ビンクリスチン誘発性の軸索変性からDRGニューロンを保護するには、NAD+を維持するだけでは不十分であり、NMNを上昇させるだけでは変性には不十分であることが示されたのです。それにもかかわらず、NMN形成をバイパスするFK866とNARの併用は、神経保護のための治療戦略を提供する可能性があるのです。

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