NMNは安全ですか?

元論文:日本人の健康成人男性におけるニコチンアミドモノヌクレオチド経口投与による安全性の確認試験


動物実験

最近の動物実験においてニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)の細胞レベルでの減少がインスリン抵抗性やアルツハイマー病に代表される老化関連疾患を引き起こすことが知られています。

NMNが改善させる!

NAD中間代謝産物であるニコチンアミドヌクレオチド(NMN)を投与することによりNAD量を増加させ、病態を改善することが報告されています。人への投与の安全性はどうなのでしょうか。実はヒトにおけるNMN投与の安全性については不明なままでした。 そこで我々は健康成人男性にNMNを経口投与し、その安全性を確認する臨床試験を行ったのです。

NMNへの期待

この考え方に疑問を投げかける研究もあり、NAD+の損失ではなく、NAD+の直接の前駆体であるニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)の異常増加が原因であることが示唆されています。 【方法】10名の健康成人男性に対し、100mg、250mg、500mg のNMNを1週間毎に段階的に経口投与し、投与前と投与後5時間までの血液データや尿データ、投与時の身体計測、心電図、胸部レントゲン、眼科検査を行いました。

安全性

結果・考察】NMNの単回経口投与により血圧、心拍数、体温、血中酸素飽和度は変化しませんでした。血液データでは、軽度の血清ビリルビンの上昇、血清クレアチニン、クロライド、血糖値の低下以外は変化を認めなかったのです。投与前後での眼科検査や睡眠の質スコアは変化を認めませんでした。また、血中のNMNの最終代謝産物は濃度依存性に上昇し、体内でNMNの代謝がきちんと行われたことが確認されています。【結論】健康成人男性においてNMNの単回経口投与は大きな副反応を認めず安全だといえるでしょう。

まとめ

老化・加齢は癌、 糖尿病、 アルツハイマー病などの種々の疾患の最も重要な危険因子として知られています。 未曾有の超高齢社会にある我が国において、高齢者の健康寿命の延伸を図る新しい方法論の開発は喫緊の課題であるといえます。 Nicotinamide adenine dinucleotide NAD+は、約 110 年前に発見された古典的な補酵素として知られており、言わばルネッサンスを迎えた近年の NAD+生物学研究の爆発的な展開により、ヒトを含めた哺乳動物において、老化に伴う Nicotinamide phosphoribosyltransferase(NAMPT)を含むNAD+生合成酵素活性の低下、あるいは CD38 に代表される NAD+分解酵素活性の亢進により、全身性に臓 器 NAD+量が減少することが明らかとなったのです。

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